歴史を重ねて今、未来へと。つながっていく「物語」がある。

再生や成長のヒントは伝統と各世代の自己変革

当社は、2005年、京都市より第2創業として「オスカー認定」を受けました。さらに2012年には京都府商工会議所知恵ビジネスプランの認定もいただきました。そして現在、21世紀の中小企業のモデルとなることを願い、「安全」「省力」「環境緑化」をテーマに事業を推進しております。第2創業といいましても、当社の200年に及ぶ歴史を断ち切ったわけではありません。バブル経済の崩壊と卸販売の瓦解に直面し、社員一丸となって乗り越えた厳しい10年の間にも、歴史に培われた商い、技術、信用、人を守り抜きました。それは当社のDNAともいえるもの。
このDNAを生かし、社長も社員も自己変革に挑戦しながら、「いかに現代社会に貢献できるか」、「社員はどのように会社に関わり、会社は社員の思いにどう応えられるのか」を共有し、実践することで、新しいドアをひとつずつ開いていきました。
私たちは確信しています。「脈々と受け継がれた伝統と各世代の自己変革に見えないけれども大きなヒントが隠されている」と。

ベテラン社員のひと言から始まった物語第2章

あるとき、3つのキーワードの重なるところに獣害防止ネット(鹿防護繊維柵「グリーンブロックネット」とイノシシ防護金網柵「イノシッシ」)があることに気づきました。

カラマリーナ

グリーンブロックネット

カラマリーナ

イノシッシ

これらは当社の第2創業のきっかけとなった開発商品であり、現在は売上の55%を占めています。
私が8代目として暖簾を継いだ当時、卸販売は大不況下にあり、リストラもやむなしと心を痛めておりました。そんな折、ベテラン嘱託社員とともに林業の現場へ出向いたときのこと。その社員から、「私は林業のことしかわかりません。けれども鹿の被害が大きく、林業従事者のために防護ネットを開発したいと思っている。ぜひ会社に残らせてほしい」と言われました。現場を知り尽くし、ユーザーと信頼関係を築いていたからこその言葉です。「やってみましょう」。私はそう答えていました。林業分野は父が戦後、林業用ワイヤロープに始まって林業機械を商うようになり、当社の名が知られていたこともあって、グリーンブロックネットは再生の風を運んでくれました。
山では鹿、里に目をやりますとイノシシが暴れています。そこで私は次にイノシシ防護柵を考案し、営業一筋55年のベテラン社員とともに開発・営業に乗り出しました。卸販売で意欲を失ったように見えたその社員に、新しいやりがいを感じてほしい。その上で今まで培った営業のノウハウを存分に生かしてほしいと思ったからです。これはなかなか苦労しましたが、大学で試験を重ね、特許を取り、1年をかけて営業で全国を飛び回りました。

部署や勤続年数など垣根を越え共に歩む社風

私と幹部社員との心の変革は、垣根のない社風と仕事のシステムを創り出しました。たとえば獣害防止柵の設置では大型工事になることも多いのですが、安易に業者を探すのではなく、部署や課を越えて社員が現地に飛び、助け合っています。こうすることでユーザーのリアルな声も聞けますし、それはよりよいモノ作りへつながります。また中途採用の社員に誰もが心を開いて接しているのを見ることは、私としても大変うれしいことです。
私は「経営者である前に一人の人間」として、社員と共にこの時代を生き、響き合って会社を変革し続けていきたいと思っています。

おわりに

私たちはこれからも、「近江屋ロープとして」の物語を紡いでいきます。
目先の利益や流行りを追うのではなく、DNAのように脈々とつながる物語があってこそ、ことに中小企業は長く続くのだと思います。お陰様で数々の表彰をいただきましたが、現状にとどまらず、仕事を通して社会に貢献する使命を忘れず、私たちの物語を未来に結んでいきます。